「観たい映画があるけど、字幕上映の期間はいつも短くて見逃してしまう」「窓口で電話対応を求められると困る」。聴覚に障がいのある方にとって、映画館や美術館での何気ない案内表示や口頭でのやり取りが、実は大きなハードルになっていることがあります。
このガイドでは、映画館の字幕対応の仕組みと、京都発祥の草の根バリアフリー上映活動、美術館・博物館での問い合わせのコツをまとめました。
映画館の「バリアフリー上映」、実は通常上映でも利用できる
「バリアフリー上映」と聞くと、特定の週だけの限定イベントというイメージがあるかもしれません。しかし現在は、スマートフォンやスマートグラスを使うことで、通常の上映期間・上映回であればいつでも字幕付きで映画を楽しめる仕組みが全国的に広がっています。
UDCast・HELLO!MOVIEとは
「UDCast」「HELLO!MOVIE」は、映画本編の音声データに同期させて日本語字幕を表示する無料アプリです。専用アプリをスマートフォンにダウンロードし、対応作品の字幕データを事前に用意しておけば、字幕表示専用のメガネ型端末(スマートグラス)を通して、自分にだけ字幕が見える状態で映画を鑑賞できます。館内に特別な設備を新設する必要がないため、対応作品であれば、全国どこの映画館でも、通常の上映回で利用できるのが大きな利点です。
京都府内では、TOHOシネマズ、ヒューマックスシネマなど全国チェーン系列の劇場が対応していることが多く、対応作品・対応劇場・字幕メガネの貸出状況は、公式情報サイト「映画みにいこ!」の劇場リストで確認できます。なお、機器の操作方法については劇場スタッフが対応できない場合が多いため、来館前に自宅でアプリの設定・ダウンロードを済ませておくとスムーズです。
京都発の草の根活動「京都リップル」
京都には、2003年から活動する市民ボランティア団体「京都リップル」があります。聞こえない人のための日本語字幕、見えない人のための副音声(音声ガイド)を、邦画に独自に制作し、「ユニバーサル上映会」として京都市内各所で不定期に開催してきました。
京都リップルの字幕は、スクリーンの右側に縦書き3行(1行目は話者名のみ)で表示されるなど、長時間の映画鑑賞でも目が疲れにくいよう工夫されています。上映会は、みやこめっせ、ハートピア京都、京都アスニー、同志社大学寒梅館、区の図書館など、京都市内のさまざまな会場で行われており、開催情報は京都市保健福祉局が運営する「ユニバーサル上映情報」のページでも案内されています。駅の改札から会場までの案内が必要な場合、事前に申し出れば手引きをしてもらえることもあります。
問い合わせ:京都リップル(TEL 075-464-0565)
美術館・博物館を訪れるときのコツ
電話が難しい場合はFAXやメールで
京都国立博物館、京都市京セラ美術館などの主要施設は、電話番号と合わせてFAX番号も公開しています。電話でのやり取りが難しい場合は、事前にFAXやメールで「筆談での対応をお願いしたい」と伝えておくと、当日窓口でも配慮を受けやすくなります。
障害者手帳の提示で入館料が割引・無料になる施設も
京都国立博物館、京都市京セラ美術館、元離宮二条城、京都国際マンガミュージアムなどでは、障害者手帳(身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳など)の提示で、本人と介護者1名の観覧料が無料になります。ミライロID(スマートフォン向け障害者手帳アプリ)に対応している施設も増えています。
筆談は多くの受付で対応可能
筆談対応を専門ページで明示している美術館・博物館は多くありませんが、実際には多くの施設の受付で筆談に応じてもらえます。「聞こえないので筆談でお願いします」と伝える、耳マークのカードを提示するなど、意思表示をしてもらえれば、多くの場合スムーズに対応してもらえます。不安な場合は、訪問前にメールやFAXで一言伝えておくと安心です。
京都市の窓口では「字幕表示システム」も
京都市の各区役所・支所の窓口には、話した内容をリアルタイムで日本語・多言語の字幕に変換する「字幕表示システム(Cotopat)」や、補聴器と連動する「ヒアリングループ」が配備されています。美術館・博物館そのものではありませんが、市の窓口手続きで困ったときにはこうした設備があることも知っておくと安心です。
参考リンク
- 映画みにいこ! バリアフリー字幕&音声ガイド
- UDCast公式サイト
- 京都市:ユニバーサル上映
- 京都市:ユニバーサル上映情報
- 京都市:「ユニバーサル上映をつくろう」
- 京都リップルとは?
- 京都国立博物館:館内設備・バリアフリー情報
- 京都市京セラ美術館:来館情報(時間・料金等)
- 京都市:障害福祉施策情報(社会参加の援助)
本記事の設備・対応状況は調査時点のものです。作品や展覧会、施設の運用によって内容が変わる場合があるため、訪問前に各劇場・施設への確認をおすすめします。

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